8月の絵文字界隈
なかなか面白いトピックが多かったのでちょこっとまとめてみました。
Unicode11.0の絵文字プロポーザル
8/3にワーキングドラフトが公開されました。新たに64種類の絵文字が候補に挙がっています。
http://www.unicode.org/L2/L2017/17284-emoji-recs.pdf
注目はL2/17-082で提案された頭髪絵文字でしょうか。これは既存の絵文字と頭髪絵文字を組み合わせることで髪型を表現しようというものです。
赤毛や白髪、カールした髪型やツルツルピカピカな頭を表現するための文字が提案されています。
http://www.unicode.org/L2/L2017/17082-natural-hair-color.pdf
一部の絵文字については、固有のコードポイントを割り当てるのか、それとも合字やZWJとして表現するのかで議論が紛糾している印象です。
たとえばSMILING FACE WITH CAPE
というスーパーマン的ヒーローを表す顔絵文字が提案されているのですが、「一般的に顔絵文字はEmotion
を表すものだが、これはRole
を表すものなので単体の絵文字ではなくZWJで表すべきである」という意見などが挙がっています。
いわば絵文字セマンティクス的な概念が誕生しているような気がしてなかなか興味深いです。意味的には単体の絵文字にするべきではないような気もしますが、かといってZWJが理想的かというとそうでもなく、フォントへの依存を高めてしまうのでなかなかに悩ましい問題ではあります。
Android 8.0 Oreoのリリースと収録された絵文字
Android 8.0 OreoではUnicode Emoji 5.0がフルサポートされ、新たに69種類の絵文字が加わりました。
Face Vomiting
などは気分を害した際に積極的に使っていきたい感じがあります。
ハッシュタグ10周年とhashflag
Twitterのハッシュタグが10周年です。
あまり知られていない気がするのですが、Twiiterでは特定のハッシュタグの末尾に自動的に(Twitterオリジナルの)絵文字が追加されます。
これはhashflags
と呼ばれるもので、一覧は下記で確認できます。
メールで絵文字を使うと「仕事ができない」とみなされるという傾向があるという調査結果
調査によれば、笑顔の写真付きメールを受け取った場合、受信者は相手の温かさと能力を高く評価する傾向があるものの、スマイル入りメールを受け取った場合は温かさを高く、能力を低く評価する傾向があるということです。
「職場で顔文字や絵文字を使用したい場合は、職場の文化をまず理解してください」はまあそのとおりだと思います。
Facebook Emojiにblack peopleの家族絵文字が追加
Facebook Emojiに新しくblack peopleの家族を表現する絵文字が125種類追加されました。
ちなみにこの分野はMicrosoft Emojiが先行していて、昨年のWindows10には52,000種類の家族絵文字が追加されています。
実際にはコードポイントのレベルで絵文字が追加されているわけではなく、ZWJに対応するフォントが増えた形ですね。
このあたりの仕組みの話は去年のEmoji Advent Calendarで記事を書きました。
Adobeのジェンダーレス絵文字
デザイナーのポール・ハントさんはEmojiconでも登壇をしていました。
デザインからジェンダーを切り離すことがいかに難しいかを実感させられますが、それでも理想の状態を追い求める姿には胸を打たれるものがあります。
絵文字というのは社会学・政治学とテクノロジーの交差点にあたる分野なのかも知れません。自分が絵文字を面白いと思う理由はそのあたりにあるのかなという気もしました。
9月もいろいろあったらまとめるかもしれません…